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ドラッカーの遺言

2005年11月、ピーター・ドラッカーが95歳で亡くなりました。

この人の著書は、たとえ何年前の本であってもほとんど古臭くなることはありません。
なぜなら、常に本質を語ろうとしているからです。
とくに、非常に早い段階から「知識労働者の時代が来る」と訴えていたことは有名です。

本書は、次のような構成になっています
・世界はどこへ向かっているのか?
・日本が進むべき道は?
・個人としての日本人は何をすべきか?

ほかの翻訳本とは異なり、本書は日本独自のインタビューをもとにしています。
「ドラッカーの遺言」というタイトルが示すように、日本人への最後のメッセージという位置づけです。
1時間くらいで読み終えてしまうくらいのボリュームですが、含蓄のある内容と寄を衒わないで本質に迫ろうとする姿勢は学ぶところが多いはずです。
古くからのドラッカーの愛読者なら驚くようなことは語っていないかもしれません。それでもやはり感銘を受けるのではないでしょうか。

偉大なリーダーやカリスマ、スーパー経営者……、さまざまな呼称がもてはやされてきましたが、すべて危険で馬鹿げた考えです。
”不世出の存在”など迷信であり、少なくとも私は賛成しかねます。
人はリーダーに生まれない。
生まれついてのリーダーなど存在せず、リーダーとして効果的にふるまえる習慣を持つ人間が、結果としてリーダーに育つのだ。

本書から重要なメッセージを引用しようとしたら、おそらく全文をそのまま掲載してしまうことになるでしょう。
ぜひ、20代のうちにドラッカーの著作を一冊読んでください。

いくつかドラッカーの人柄を伺わせるエピソードが本書に紹介されています。

ドラッカーは有料の業務においては、通常1日のコンサルティング料として6000ドルから8000ドルほど請求していました。
非営利団体に対しても同様の請求をしていましたが、支払いのための小切手が送られて来ると、即刻、送り返していたのです。
コンサルティング料を支払うと思えばこそ、アドバイスを真剣に受けとめてくれるという考えからです。
ドラッカーは郊外の住宅地にある、小さなプールが付いただけの質素な家を終の棲家とし、その暮らしぶりも禁欲的なものでした。
『インク』誌がかつてドラッカーに訊ねたことがあります。
「暇なときはどういうふうに過ごされるのですか」
ドラッカーは返したものです。
「暇な時とは、どの暇のことだ?」