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発想する会社!


デザインファーム『IDEO』
ご存知ですか?

KDDI auのinfobarや、無印良品の壁掛け式CDプレーヤーのデザインで有名な深澤直人さんがかつて所属していた会社です。
すでに日本では、この『発想する会社』と『イノベーションの達人!』が翻訳・出版されています。

著者は、IDEOの創業者ディヴィッド・ケリーの弟で自身も同社のマネージャーを務めるトム・ケリー。
『世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』と副題にある通り、本書は企業内でイノベーションを引き起こすための本です。
イノベーションを起こすことができる会社はどのような企業文化を持ち、その企業文化はどのように形作られるのか?

日本では「イノベーション」というと、自動車の発明やインターネットの開発など「社会を大きく変える技術革新」というイメージがあります。ここではもう少し幅広く、気軽な感じでイノベーションを取り扱っています。「徹底的な差別化のポイントになれば、それはイノベーション」という感じだと思います。
イノベーションで他社と差別化したいと願うクライアント企業の依頼を受けて、IDEOはプロトタイプを制作したりするのですが、同社を貫いているのは「既存の製品の常識をいかにしてひっくり返そうか」という探究心です。
そして、その「イノベーションを追求するという姿勢」「それを徹底的にサポートする環境」独特の企業文化をつくり出しています。

一読して、「どう見てもうちの会社では真似が出来ないな」と思う方がほとんどだと思います。

例えば、ブレインストーミングを台無しにする六つの落とし穴というのが紹介されています。

  1. 上司が最初に発言する
  2. 全員にかならず順番がまわってくる
  3. エキスパート以外立ち入り禁止
  4. 社外で行う
  5. ばかげたものを否定する
  6. すべてを書きとめる


どれももっともなことが書いてあります。
しかし、このルールを守ったからといって、どの会社でもIDEOと同じようなクリエイティブな雰囲気のブレストができるわけではなさそうです。
なによりも、活気あるブレインストーミングをとりしきるファシリテーターの人材が不足しているのではないでしょうか?
ブレインストーミングにはスキルが必要です。誰でもできそうで、実はそうでもないものなのです。

そして、大量に紹介されている事例も、デザインと関係ない業種のかたから見れば、自分の会社に取り入れられるものは無いように見えるでしょう。
本書を読むときは、そのように読まないでください。
この本は、クリエイティブなチームを作るための本ですが、同時に企業文化をどのように作るのかという試行錯誤の集積です。
企業文化は1日で出来るものではなく、細かいことの積み重ね。
企業文化の育成は人材採用の時点から。
どれも、当たり前のことですが、実際の会社を実例としてこれだけ詳細に見ることができる機会はあまりないと思います。

そして、もうひとつ注目してほしいのは、「見る」ということの徹底ぶりです。
顧客やユーザーをどのように観察しているのか。
本書で語られるイノベーションの多くは、ユーザーや顧客を観察した結果から生まれています。
(我田引水ですが、このへん当社の顧客視点研修とつながるものがあります)

わたしの好きな言葉にこんなのがあります。

見ることができる以上のものを作ることはできない。


本書からの引用ではないのですが、ものづくりをするにしても、自分が見て理解できる以上のものは作れないのです。
ウェブサイトをディレクションするにしても、ほかのウェブサイトを見て、そのサイトの目的や各パーツの意図が理解できなければ、それと同等のものを作ることはできません。
そういった「見る」ことの重要さが語られています。


ということで、本書は、
・デザインやクリエイティブな職種についている
・企業文化に興味を持っている
そのどちらかにあてはまる経営者・マネージャーにとっては必読でしょう。